2021年1月24日ごろから、一気に話題になり始めたClubhouse(クラブハウス)。
ブームが始まる瞬間に立ち会うというのも、貴重な経験ですよね。
Clubhouseについての各社の記事はそれぞれ参考になりますが、情報が分散している印象が否めません。
そこでこの記事では、
- Clubhouseブームの背景
- Clubhouseの特徴(他の音声SNSとの違い)
- Clubhouse問題点
をまとめました。
Clubhouseについての情報を整理して理解したい方は、ぜひご一読ください。
もちろんネットの情報を寄せ集めたのではなく、弊社メンバーが実際にClubhouseを利用しています。
Clubhouseとは?
Clubhouseは、2020年3月にアメリカで誕生した音声チャットSNS。新型コロナウイルス感染症による外出自粛期間ということもあってすぐに人気を博し、12月には登録者数が60万人に達しました。
急に日本で話題になった…となれば、
日本でも使えるようになったのか?
日本語版アプリができたのか?
と思ってしまいますが、そういうわけではありません。日本でも前から使えていましたし、アプリはまだ英語版のみです。
2021年1月24日に新たな資金調達を行なうことを発表し、日本のTwitterなどで話題になったことが大きなきっかけだと言えるでしょう。
開発したのはAlpha Exploration Co.でCEOはPaul Davison氏(@pdavison)です。
https://www.joinclubhouse.com/
ブームの背景-なぜこんなにも話題なのか?
新しいSNSが登場するのは、もはや珍しいことではありません。
それがここまで熱い話題になったのは、以下の理由が挙げられます。
- 招待制であること
- 招待できる人数が2人であること(※)
- 実名登録であること
コロナ禍で密を避けなければいけない状況の中、リアルに近い小さなコミュニティで交流できることがウケた…という側面は、もちろんあるでしょう。
でもそれだけなら、ZOOMの飲み会でも実現できます。
やはり、
- 誰でも入れるわけではない最先端アプリ、という希少性
- わずか「2名」に選んでくれる友人知人がいる、という優位性
このあたりに惹かれてしまうのは人間の性ですよね。さらに現在はiOS限定なので、そこでも差がつく感じがあります。
IT企業やスタートアップ企業で仕事をしている人ならなおさら、いち早く使ってみたいのではないでしょうか。
さらに現在はまだまだ閉じられた空間であることから、著名人と雑談する機会に恵まれたり、裏話など「ここだけの話」を聞けたりすることもあり、他のSNSより刺激的な楽しみがあることも魅力のひとつです。
※後述しますが、招待枠を使わずに招待する仕組みはありますし、1月30日ごろから招待枠が増えたというツイートが多数投稿されています。
他の音声メディアとの違いは?
招待制や実名登録という特徴はあるとして、では音声メディアとしてはどうでしょう。
音声メディアが登場するのも、初めてではありません。
音声のコンテンツを配信するVoicyやPodcast、ゲーム実況の分野ではDiscord(ボイスチャット)も定番です。親しい人と音声で会話したいなら、そもそも電話(SkypeやLINEも含む)があります。
Clubhouseの特徴は、以下の3つを併せ持っていること。
いずれかを持つSNSやメディアはたくさんありますが、すべて兼ね備えている意味で珍しいのです。
リアルタイム性-アーカイブ機能がない(録音禁止)
アーカイブ機能がない、つまり録音の配信がないということです。
要望は多そうなので追加機能で実装される可能性もありますが、2021年1月時点ではありません。それどころか、スピーカー(話し手)の許可なく録音することも規約で禁止されています。
聞き逃したら終わり、というリアルタイム性は、リアルでの交流が難しいコロナ禍だからこそウケるのかもしれません。
なお、配信予定を作成しておく機能は用意されており、フォロワーには通知されます。
双方向性-聴衆が会話に参加できる
VoicyにしてもPodcastにしても、自分が聞きたいコンテンツを聞くというスタイル。一方のClubhouseは、スピーカー(話し手)に指名されたり、挙手をしてスピーカーに許可されたりすれば聴衆も話せるのです。
その双方向性は、ラジオに近い状態のVoicyやPodcastとは別物ですね。
公共性-音声チャットルームの可視化
Clubhouseが「音声版Twitter」と言われているのは、双方向性に加えて音声チャットルームが可視化されていることです。公共の場所でいろんなグループが話しているようなイメージです。一緒にスポーツ観戦をしているグループや音楽のセッションをしているグループに遭遇する、なんてこともあるでしょう。
どんなグループにどんな人がいて、誰が話しているのかがわかり、話を聞いたり発言したりできる――という点で、DiscordのようなボイスチャットやLINEのグループチャットとは大きく異なっています。
※CLOSEDのルームを作ることもできます。
招待に不正も?Clubhouseの問題点
そんな話題のClubhouse、問題点や危険性も指摘されています。
招待が売買されている
1人あたりの招待枠が2人と、非常に狭き門のClubhouse。友人に声をかけてもらう、TwitterなどのSNSでフォロワーに呼びかけて招待してもらう、という方法が一般的です。
しかし人気が過熱するあまり、メルカリなどのフリマアプリで招待枠を売買する人がいたり、SNSで女性を誘おうとする人もいたりして、好ましくない状況も生まれつつあるようです。
Clubhouse内での活動がアクティブな人には招待枠が追加で付与されますし、登録者が増えていけば招待枠が広がる可能性もあります。あのmixiも当初は招待制でしたが、途中で撤廃されたことを覚えている人も多いはずです。
強い興味がある人はじれったいと思いますが、落ち着いて機会を待ちましょう。
招待枠が増えるタイミングは?
正式な基準は発表されていませんが、数日で増えることも多いです。
1月30日ごろからTwitter上では
「なぜか増えた」
「使い切ったと思ったらまた増えた」
「全員増やしてるのか…?」
といった投稿もたくさんありますので、必ずしもフォロワーが多い人や公開MTGが人気になった人というわけでもないようです。
招待枠を使わずに招待できる?
お互いの電話番号がiPhoneの連絡先に登録されている関係性であれば、招待枠を使わずに招待できます。
AさんがBさんを招待したいとしましょう。
①Bさん:Clubhouseのアプリをダウンロードして自分の電話番号を登録する(「招待待ち」の状態)。
②Aさん:Bさんが招待待ちである旨の通知が来るので、承認する。
というステップです。
ちなみに、①のあとでAさんがBさんを連絡先に登録しても通知は来ないようですので「Clubhouseのためではなくもともと連絡先を登録しあっている」ということもポイントのようですね。
この件については、プランナーの松丸祐子さんのnoteがリアルタイムで更新されていて参考になります。
https://note.com/matsuyou/n/nfed6dc11e3d7
規約違反を取り締まりにくい
アーカイブ機能のないリアルタイムの会話が魅力である一方、規約違反を取り締まりにくいという問題があります。録音禁止の規約もあり、ヘイトスピーチや誹謗中傷、ハラスメントなどの証拠を残すのが難しいためです。
また、動画やテキストのように「投稿・公開のボタンを押す」というワンステップがないので、どうしても不用意な発言が増えてしまうというリスクもあるでしょう。
未成年を守りづらい
Clubhouseのアプリは実名登録であり、招待には電話番号を教える必要があります。
SNSで悪意ある大人に誘われて電話番号を教えてしまったら?
Clubhouse内で悪意ある大人に誘われ、性的被害や違法な勧誘を受けたら?
先述した「規約違反を取り締まりにくい」という問題点もあるので、非常にリスキーです。
(もちろんこれらのリスクは未成年に限りませんが)
Clubhouseの年齢制限(年齢認証)は17歳以上
App StoreのClubhouseアプリは、17歳以上という年齢制限になっています。
しかしこの年齢認証は、iPhoneの端末でアプリの年齢制限を「17+」に設定していないと有効になりません。TwitterなどのSNS上では「年齢制限のせいで登録できないのが悔しい」という投稿がある一方、「登録できたよ」という投稿もあり、実際のところ16歳以下が使うハードルはさほど高くないと言えます。
聴覚障害者が使えない
今は、ユニバーサルデザイン、ダイバーシティという考え方が当然のように求められる時代です。
しかし、録音禁止でアーカイブ機能も文字起こし機能もなく、テキストチャットもできないとなれば、聴覚障害者はまず使えません。
この点は、アクセシビリティの改善を求める声が上がる可能性もあります。
Clubhouseは次世代のスタンダードになるか?
大きな話題を集めて日本に登場しただけに、期待も高いClubhouse。
実名登録という面ではFacebookに、双方向で会話できるオープンスペースという面ではTwitterに、招待制であるという面ではmixiに、音声でやりとりするという面では古くからある電話やラジオにも通じるSNSです。
スマホから目が離せない動画やテキストに対し、「ながら聞き」ができるのが音声のアドバンテージ。とはいえ、大容量データ通信が発達した2020年代に音声が再度注目を集めているのは、非常に興味深いことです。
マルチメディアの時代に、音声に特化したSNSが次世代の主力になる――
そんなことが本当に起きるのかどうかはまだわかりませんが、新しいSNSにどんどん人が移っていくのは事実。
課題もありますが、機会に恵まれれば試してみたいですね。
なお、今回の新たな資金調達でAndroidに対応する開発も進められるそうですよ!