コロナ禍において感染対策の一環として普及した新しい働き方、テレワーク。
昨今は通勤負担がなくなる、プライベートとの両立がしやすい、自分の働きやすい環境で働けるなどの被雇用者側のメリットにより、コロナ後の継続を希望する声が高まっています。
一方、テレワーク導入・継続の抵抗勢力は主に管理側。
業務連絡や社内での会話などのコミュニケーションの機会減少が生産性の低下に繋がるのではないかと懸念し、「早く元の出勤体制を」と望んでしまいがちです。
2020年3月から2022年3月現在までテレワークを実施している弊社の経験から言うと、テレワークの課題は解決できます!実際、コミュニケーションをはかりながら、生産性を上げることすらできていると実感しています。
今回は、テレワークにおけるコミュニケーション課題の解決方法についてご紹介します。
テレワークのコミュニケーション課題
テレワークを導入した当初、弊社も「リアルのオフィスなら簡単に伝えられるのに」「話す機会が激減している」とコミュニケーション面での不便さを実感しました。実は、コミュニケーション不足だと感じる原因は「社内(他のメンバー)の状況がわかりづらいこと」。
単に今まで通りの業務を自宅で行うだけでは、当然不都合が生じます。
まずは弊社の経験をもとに、3つのコミュ二ケーション課題を紹介します。
優先度の低い報連相が後回しになる
リアルの場合、相手が今話せる状況なのかどうか判断するのは簡単です。一方、テレワークでは相手の状況がわかりづらく、気軽に話しかけづらいです。
リアルではすぐに解決していたようなちょっとした相談事項や優先度の低い報告が後回しになり、思いがけず深刻な事態に発展するリスクがあります。
勤怠管理が難しい
「部下はきちんと働いているのか、サボっているかがわからない」
テレワークの導入を考える管理職の方にとってはこれが一番の悩みだと思います。自分以外の周りの目がない自宅で働くため、今までの環境と比較してこのように考える方は多いでしょう。
実際のところ、ほとんどの人が期限のある仕事を持っているのでそうそうサボれません。ただ、どの程度手が空いているのかを把握しづらいのはたしかなので、進捗管理と照らし合わせて勤怠管理する必要があります。
雑談が生まれにくい
完全に全社員リモートワークを導入すると、何もしなければ雑談の機会は極端に少なくなります。ちょっとした気分転換が難しくなったり、雑談から生まれる新しいアイデアといったものが生まれにくくなったります。
特に導入当初は、オンラインで気軽に話しかけることにも慣れていないので、人によってはかなり淋しさや孤独を感じることもあるでしょう。
コミュニケーション不足の解決方法
ではどのようにこれらの課題を解決するのか。
実際に弊社で行った対策をご紹介します。
ツールを導入する
コミュニケーション不足の課題はツールを導入することである程度解決します。
テレワークを始めるにあたって便利なツールを紹介します。
チャットツール
社内での情報共有手段としてチャットツールは必須。
テレワーク前から導入している会社も多いかもしれません。
チャットツールのメリットは、
・やりとりの内容が見返しやすい
・返信がリアクションで済むなど、メールよりも気軽に使える
・プロジェクトごとにグループをわけ、情報が整理できる
など
社内で情報共有の体制が整っていない場合には導入をおすすめします。
弊社ではChatworkを導入しており、お客様とのやりとりもなるべくツール上で行うようにしています。
音声通話ツール
音声通話ツールと聞いてあまりピンとこない人も多いかもしれません。
弊社の経験上、これもテレワークに必須のツールだと断言できます。
音声通話ツールとはその名の通り、声で通話ができるツールです。PCを通して、常に通話状態にしておくことで、すぐに誰にでも声をかけられるオフィスの状況を擬似的に再現できます。グラフィカルなデザインの「バーチャルオフィスツール」も、音声通話ツールの一種です。
弊社ではDiscordを導入しており、実際に相談や連絡のハードルが格段に下がりました。情報共有や連絡は先のチャットツールでもできますが、実際は文章力も必要で、「文章で説明すると誤解が起きそう」「文章で残すほどでもない」といった案件も多々あります。そんなときは、音声通話ツールで一気に解決できます。
また、弊社では個人の在席状況を音声通話ツールでわかるようにしているのですが、それについては後述します。
ビデオ会議ツール
クライアントとのリモート会議で主に利用しますが、実は社内ミーティングでも必要なツール。弊社ではより重要度が高いミーティングや、コミュニケーションにも重きを置いた定例ミーティングで使用しています。
弊社ではZoomとGoogle Meetsを利用しています。
・Zoom
主に社外とのミーティングで使用。利用している会社が多く、話がスムーズなためです。
・Google Meets
主に社内ミーティングで使用。Googleカレンダーとの連携が簡単にできるためです。
強制的にコミュニケーションを生む仕組みを作る
ツールを導入しただけではコミュニケーション不足の対策には不十分。
コミュニケーション課題の解決に重要なのは、仕組み作りです。
定例ミーティングを行う
弊社では毎週2回、社内ミーティングを行っています。
目的は情報共有とコミュニケーション。
仕組み化し、発言の機会が与えられることで情報共有しやすくなります。また、表情を見ることで心身の調子が読み取れたりするため、弊社ではミーティング時に意図的に雑談の時間を作っています。
プロジェクトや小規模の部署なら、「毎日、朝一番と昼休み明けに5分だけ集まる」といったスタイルもいいでしょう。職場に合った形で定例ミーティングの機会を設けることをおすすめします。
ツール上に雑談の場を設ける
テキストでやりとりするチャットは、発言がいつまでも残ります。それは仕事面では有効ですが、雑談には不向き。仕事の話の邪魔にもなりますし、そもそも残したいものでもないからです。
しかし、やはり雑談は気分転換やモチベーション維持、アイデアを生むきっかけとして重要なもの。テレワーク下で激減する雑談を生む仕組みは必要です。
弊社ではChatWorkで雑談専用の「雑談」というグループや共通の趣味について語るグループなどを作成し、仕事に関係のないことでも気軽に発信できる場を設けています。おやつの時間に皆でスイーツの写真をあげるといったグループをSlack上で作っている会社もあるそうですし、どの会社も工夫しているようです。
在席状況を見える化する
誰がどういう状況か見えないテレワーク。スケジュールを共有することで、大まかな状態はわかるものの、リアルタイムの状況がわからないとなかなか話しかけづらいです。
そこで弊社ではDiscordという音声通話ツール上で個人の状態がわかるように工夫しています。
マイクミュート(話しかければ聞こえるが、自室の音は聞こえない状態)=在席中
スピーカーミュート(話しかけられても聞こえない状態)=離席中
どのチャットルームにもいない=外出中
が基本。
さらにチャットルームが複数作れるという機能を活用し、
Meetingという名前のチャットルームに入室=ミーティング中
Phoneという名前のチャットルームに入室=電話中
ZENという名前のチャットルームに入室=集中して作業中
と、状況も可視化できるようにしました。
もちろん、長時間離席する場合や外出する場合は事前にチャットで連絡を入れておくのが原則です。
コミュニケーションの5つのポイント
これまでコミュニケーション不足の課題の解決方法を紹介しました。
ツールを導入し、工夫して仕組み化することで多くの問題は解決に向かいます。最後に重要なのが、個人の意識。ここでは5つに分けて紹介します。
テキストチャットは端的にし、すばやく返信する
とにかく要点をわかりやすく伝えることを意識しましょう。
長文になるほど認識に齟齬が起きやすいため、5W1Hを意識することが重要。箇条書きや連番も活用しましょう。細かなニュアンスは音声通話で補足すればOKです。
また、チャットの返信が遅れれば、「見ているのかな?」と相手が不安になります。仮にすぐに返答ができない場合は、「了解」などのリアクションで反応しましょう。すぐに反応しないと忘れやすいので、TODOリストや備忘録での管理も有効です。
報連相はすぐに行う習慣をつける
テレワークを始めた当初は特に、相談のタイミングが難しいように感じました。ただ、音声で1対1で話せたり、チャットも送れるので、実のところそう難しいものではありません。タイミングを気にせず、「今いいですか」と声をかけ、思いついたときにチャットを送ればいいだけです。
一人で行き詰まったら、すぐに誰かに相談してみましょう。
常に音声通話できる状態を作る
会社のテレワークの仕組みになりますが、音声通話ツールに入った状態で仕事を行いましょう。いつでも話しかけられる状態、いつでも話しかけてもらえる状態を作るということです。これだけで報連相のハードルは大幅に下がり、コミュニケーションのきっかけが生まれやすくなりますし、「サボりづらくなる」という側面もあります。
重要な話はビデオ通話で行う
商談時はもちろん、社内でも要所で活用するのがおすすめです。ビデオ通話は表情の変化を見られるため、話に対する反応がわかり、「この人何か話したそう」といったことも読み取りやすいです。ブレインストーミングなどのアイデア出しは、ビデオ通話の方が適しているでしょう。
テレワークに慣れる努力を続ける
弊社がテレワークを始めて2年余り。今は音声ツールで仕事の話をしたあとにそのまま雑談が始まることもありますし、ビデオ会議で様子を伺い合うような空気はありません。また、直接会わないことを過度に淋しく感じることもなくなりました。
ツールを使ったり、雑談や報連相を意識したりといった努力を続けているうちに、いつのまにか慣れた、という感じです。最初のぎこちなさでテレワークを諦めず、続けてみて慣れることが重要です。
まとめ
テレワーク導入後に多く人が直面するコミュニケーション課題はツールの導入とその運用の仕組みづくり、個人の工夫と慣れで解決できます。
会社の規模によってはいきなり全社員で導入!は難しいとは思うので、まずは一部の部署などに限定して試験的に導入してみましょう。既にテレワークを導入していて問題を感じている場合は、運用の仕組みを見直すことをおすすめします。